お客さまのご紹介で携わることになったマレーシアのコンドミニアム
(戸建て住宅)をリフォームした実例のご紹介です。
窓に囲まれた明るくて解放感のあるご自宅は、
熱帯植物で作られた庭園に囲まれ、リビングから続く中庭にはシンボルツリーが植えられていて、
プライベートな空間が広がっています。
日本とは住宅環境が違い、ゆったりとした空間づくりが実現したリフォーム事例となりました。
今回はいつもと違い、かなり離れた海外でのリフォームでしたので、
現地に訪れたのはたったの2回です。
日本での仕事の進め方とはまるで違うプロセスになったのですが、
遠方のお客さまとの打ち合わせやプランニングをどうやって進めていったのか、
そして、日本とは大きく違っていた現地のリフォーム事情についても少し触れていきながら、
完成したご自宅の様子をご紹介していきたいと思います。
さて、ご相談当時のお客さまはシンガポールに住んでいたのですが、
マレーシアにコンドミニアムを所有しており、そちらに移り住むことにしたため、
リフォームしたいとのお話でした。
リフォーム前はキッチンがありませんでした。
床壁天井は一通り仕上がってはいるものの、照明器具はついていないし、
そのまま生活するのは難しいといった状態でした。
そんな状況からのリフォームのご要望は次の通りです。
・キッチンを中心とした住宅設備の計画
・家族構成に合わせた間取りの変更
・家具インテリアの選定
・全体のトータルコーディネート
大きな間取り変更は行っていませんが、
現況の間取りから全体に微調整をしています。
特に大きく手を加えたのは次のエリアです。
・玄関エントランスホール
・リビングスペース
・ダイニングスペース
・キッチン
・ゲストルーム
・セカンドリビングルーム
・マスターベッドルーム
・マスターバスルーム
・お子さんのベッドルーム
また、全体のインテリアコーディネートと外構のレイアウト計画まで総合的にデザインしました。
海外の家は日本の住宅とサイズ感覚が違う部分もたくさんあるのですが、リフォームしていく中で基本となる考え方は同じです。ただ、日本のようにメーカーの既製品が充実していませんので、住宅設備や収納家具は全てオーダーすることになります。
素材選びについても同じで現地で調達できる種類は限られているため、仕上の微妙な調整がつきにくいというところが、海外でリフォームを進めていく上で最も苦労した部分でした。
タイルや化粧板については比較的メーカーも多く、日本と同じくらい充実していました。
タイルはヨーロッパから買い付けているメーカーがあるため、日本のメーカーと同じようなトレンドが揃っていますし、無垢材を使用した家具は、逆にマレーシアの方が安かったりしました。日本のように気候変動がないので、無垢材の反りやたわみといった不具合が生じにくいですし、良い素材の家具が安く購入できるという点では、マレーシアの方がお得だと思いました。
また、日本の場合は内装壁を壁紙で仕上げることが多いですが、マレーシアではタイルや左官などを使った素材感のある仕上が主流ですので、やはり雰囲気の良いインテリア空間が出来上がります。広い空間に、素材感のある仕上を施せるという点では、海外リフォームの方が優位に働くことがあるなと感じる部分でもありました。
どうやって打合せを進めたのか?
海外に限らず、遠方の方とのプロジェクトを進めていく場合は、
WEBを使った打ち合わせを活用してコミュニケーションをとっていきます。
当初は主にスカイプを活用した打合せを行っていました。最近だとZOOMやチャットワークなどを使うことが多くなってきています。
また、ちょっとした連絡や報告事はLINEを使ってやり取りしたり、
PCメール以外のツールを使ったやり取りも活用しながらという感じで進めていきます。
特に遠方の案件に携わらせていただくときはCGパースを積極的に活用しているのも意識していることの一つです。
デザインについてはお客さまの好きなテイストだけをおうかがいして、あとはこちらで全てご提案させていただきました。
イメージのもとは雑誌や旅行で行ったホテルのイメージなど、
お好みのテイストの写真をいくつか送っていただき、
そのテイストを取り入れたイメージをCGパースでご提案し進めていきました。
当初は色の濃い落ち着いた木目を基調にしたアジアテイストのデザインでしたが、最終的にはモダンでシンプルな木目を採用したインテリアイメージに変更しています。
このように最終的なインテリアのテイストが変わることはよくあることです。
そういう意味でもCGパースはお客さまの本当にお好みのテイストを知る為に欠かせないツールの一つです。
着色したCGパースを提出する前には、線だけの3Dスケッチを描いて、立体的に把握していただきやすい資料を作成します。
3Dスケッチでカタチのイメージを共有していただきましたら、仕上予定のラフをお伝えします。
このタイミングで工事業者にも見積を依頼することが出来る資料が出来上がります。
対面での打合せが少ない場合、
お客さまのご要望を少し違った解釈で認識してしまうことがありますので、
分かりやすく表現した3Dイメージを確認していただきます。
『イメージがちゃんと共有出来ているか?』
ここが大切になってきます。
思い込みのないようにヒアリングと確認を繰り返し行い、
イメージをしっかりとカタチに落とし込んでいくこと作業が重要です。
日本と違う海外のリフォーム事情
工事業者は現地の工務店を利用したのですが、
日本と違い、現地では予定通り工事が進まないのが常識のようです。
国民性の違いでしょうか、普通に遅れてしまいます。
日本人の経営するリフォーム業者さんにも見積依頼をして比較したのですが、
値段は1.5倍ほどの差があります。
単純に比較すると現地の業者を選んでしまうのですが、工事が予定通りに進まないというデメリットがありますし、メモ用紙に手書きされた見積りが届くなど、やり取りにも不安を感じることも結構ありました。
費用に余裕がある場合は、日本人監督の監理する工事業者に依頼した方が良いと思います。
計画通りに進めてくれる可能性が高いので、それなりのメリットはあることが良く分かりました。
まとめ
さて、今回は海外でのリフォームということで、いつもと違う感じもありましたが、
参考にしていただける部分がいくつかあった実例だと思います。
特に、素材感のある家具を使ったり、壁面にタイル貼の壁を取り入れる等といったやり方は、
空間の質を向上させる効果的な手段になりますよね。
また、キッチンや収納家具を全てオーダーして、最適なサイズと素材で製作したことも、
住まい全体の居心地の良さを向上させる要因になったと思っています。
・素材感のある仕上材を使える場所はあるか?
・照明計画で雰囲気の良い住まいを作り出せているか?
・収納計画によって快適性は向上しているか?
これらをしっかりと計画することで、
シンプルかつ上質な雰囲気を演出できるように心がけていますので、
ご自身のリフォーム計画のご参考になればうれしいなと思います。