『まるで無垢材』加工技術がすごい突板の天板

『木を使うならやっぱり無垢材でしょ!』と思っていたのですが、最近は突板でも無垢材にしかみえない天板が作れるようになってきていること、知っていますか?

今回はその『まるで無垢材』の突板天板を作ってみたんですが、これがかなりイイ感じで出来上がったので、実際の写真をご紹介しながらお話したいと思います。

こんにちは。大阪市西区で住宅リフォームや店舗デザインを手掛けるMASAKISEKKEIです。

今回は、『まるで無垢材』の突板天板についてお伝えします。


これが今回作った突板の天板↓

オーク材突板天板

オーク材の突板天板。6枚ハギになっていて、小口も同じ幅が続いている

オーク材の突板を使って作っています。
小口の部分、無垢材ならではの断面の木目がとてもリアルに表現されていると思いませんか?

オーク材突板天板の小口

小口部分はまるで無垢材のような木目で仕上げられている。実物はかなりリアルな仕上がり

どこからみても無垢材にしか見えません。
加工技術の進歩ってホントにすごいですよね。

『そもそも突板の天板も無垢材と同じ本物でしょ?』と言われると確かにその通りなんですが、
突板の天板には一つだけ無垢材と決定的に違う点があるんです。

それは、小口の部分が4面とも柾目になってしまうこと。(小口=切った断面)

突板仕上げの場合、例えばテーブルのように4つの面がすべて見えてしまう独立した配置だと、どうしてもこの小口の部分に違和感がでて無垢材に見えないという欠点(ではありませんが)がありました。

柾目の小口

小口に無垢材を貼ったメラミン天板の実例。無垢材のように断面の木目が見えていない。

小口だけを比較するとどうしても無垢材の方がかっこよく見え、突板は見劣りしてしまう感じがしていたのですが、この違いを解消できる技術が今回お話している突板の加工方法です。

『そんな細かい話、どっちでもいいわ!』
と思う方がいると思います。正直気づかない人の方が多いでしょうし確かにそうかもしれませんが、『デザインは細部に宿る』と、有名なドイツの建築家ミース・ファン・デル・ローエも言っていましたし、それに何よりも、『まるで無垢材』のような突板の天板は、無垢材にこだわる方にとって見た目以外にもメリットがあるんですよ。

例えば、無垢材のように反りや縮みが出ませんし、製品自体の重さが軽くなります。
そして何よりも価格が安くなるんです
無垢材と比較するとだいたい半額程度で作れてしまうので、個人的にはかなり大きな利点だと感じています。

ちなみに、小口を4面とも一般的な柾目の突板で仕上げる仕様なら、さらに60%程度の価格(突板比較で)で作ることができますので、この『まるで無垢材』の技術ができたおかげで、予算に応じたこだわりを選択できるようになったと言えます。

もちろん無垢材の天板には絶対的な存在感があり、他には代えがたい雰囲気があるのも事実です。

無垢材でしか表現できない重厚感や、天然の木目、そして自然にできたカーブラインなどは無垢材の良さそのものであり、シンプルにかっこいいです。

実際、僕も自宅のダイニングテーブルには無垢材のウォールナットを使っていて、テーブルに触れるたびにその良さを実感します。

ウォールナット無垢材のテーブル

ウォールナットの無垢材で作ったダイニングテーブル。5枚ハギで木目がきれい。

なので、無垢材がイイというお客さまには、迷いなくの無垢材をお勧めしているのですが、その良さを認めつつ、『突板でも無垢そのもの質感を表現できる製品を作れますよ!』という話は、知っておいて損はないのかなと思っています。

ちなみにこの『まるで突板』の加工技術、イケアのモッケルビーという商品でも使われています。店舗で偶然見つけたんですけど、これも見た目は無垢材そのものでした。

イケアのモッケルビー

イケアのモッケルビーは突板ですが、無垢材のような小口に仕上げられている

既製品なのでオーダーはできませんが、サイズが合う方にはお得な製品だと思います。

イケアモッケルビーの商品タグ

幅140センチ奥行79センチのモッケルビーのテーブル このサイズ、品質でこの値段はお得

さて、ここまで『無垢材と突板』についてお話ししてきましたが、実は素材のクオリティーが上がっているのは木材製品だけではありません

壁紙やフロアタイル、そしてメラミン化粧板など、いわゆる『フェイク素材』といわれる内装仕上げ材でも品質はどんどん上がっています。最新の製品だと本物かどうかの見分けがつかないレベルです。

『壁は塗装に限る!壁紙なんてダサくて使いたくない!』というインテリアデザイナーは今でもたくさんいると思います。

でも、壁紙は色柄に困らないほどパターンが豊富ですし、機能性が高く施工性も良い。そして価格メリットもあり、メンテナンスや工期短縮にも優位性があるんです。何よりコストを抑えることができるので、塗装は、壁紙ではどうしても納得がいかない場合の選択肢にするという考え方が将来のスタンダードになるかもしれません。

なので、僕たち設計士はこまめにショールームに行き、常に最新の素材をチェックし続ける必要があります。

ところで、フェイク素材にはメリットがたくさんありますので、その点について少しお伝えしておきます。

・メンテナンス、お手入れ
天然素材は反ったり縮んだりするんです。特に最近は加湿器やエアコン常備が当たり前ですから、室内でも湿度の変化が大きくなりがちです。こういう環境でも影響しないのが、フェイク素材の大きなメリットです。他にもワックスフリーで傷がつきにくくお手入れすら必要ない。新品の見た目のまま長く使えるものが多いです。

・価格
無垢材は本物というだけで価格が高くなるのですが、フェイク素材はかなりのコストダウンが可能です。

また、これはお客さんには直接関係のないことかもですが、無垢材の商品に比べると重さが軽く作られているので、施工性が高く、現場での取り付けがしやすいというメリットがあります。
施工精度が良い=寸法がズレにくいとか、工事がスムーズに進むとか、職人さんの人工代が節約できるなど、間接的な項目ながらも、目に見えるメリットになって表れてくることもあるんです。

・機能性
無垢材は機能的な制限が多いです。例えば、フローリングの場合だと、床暖房を高温設定のまま使用できない等がその例です。

・納期
無垢材の場合は素材選びから始まります。そして材料加工と仕上げ工程に時間と手間がかかりますので、テーブルなどは1か月から3か月くらい納期がかかるのが一般的です。その点、フェイク素材なら大量生産されているものが多く、在庫も豊富。

木製の天板の話の少し戻りますが、木製造作に使用する素材には大きく分けて無垢材突板メラミンがあります。木のかたまりをそのまま使うのが無垢材。突板は表面だけ本物のスライスしたものを使いますが、中は合板で作っています。メラミンはメラミン樹脂でできており、突板テーブルと同じ構造(中が合板)になっています。

このメラミンも表情自体がとてもリアルになってきているので、フェイクといえども良く見ないとわからないレベルです。こちらも壁紙業界と同じような加工技術のすごさを感じることができます。

メラミンテーブル

TOPにメラミンを貼ったテーブル。小口は無垢材を使用しているので、断面は柾目になっているが、木目の表情がとてもリアル。

 


今回は、『まるで無垢材』のような突板の天板についてお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。

MASAKISEKKEIは住まいのリフォームに商業デザインの手法を取り入れて、照明と収納にこだわった提案をしているところが特徴です。カフェレスジャパンデザインアワード2019リノベーション賞受賞。大阪市でリフォームをお考えの方は気軽にご相談ください。
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今回も最後まで読んでいただいてありがとうございました。